九六式軽機関銃ができるまで③

この項は新企画です。KTWの製造過程を皆さんに公開します。ヤスリ1本からスタートしたKTWの製品作りですが、20年以上経った今でも似たようなものです。これを見てメーカーになろうという方が1人でも現れれば幸いです。

砂型の元型となる金型。これはアルミレシーバーの型で、修正はKTWでやりました。その他の鉄製品の型修正は外注さんで終了しています。これから鋳物の量産にかかります。

メカ部の配線準備は完了です。圧着端子、マイクロスイッチ、カプラー、絶縁キャップなど、KTWでは聞きなれないパーツで初めての組み立て体験となります。  12月19日



量産試作で上がったパーツで組み立ててみました。4.8Kgあります。これに弾倉、キャリングハンドル、照星、そして二脚と銃床が加わると7Kg前後になるでしょう。

発射テストのために仮組みしたのですが、テストは大成功でした。バッテリーはコンパクト電動用が付属します。金型の修正もほぼ完了し、これから鋳物の量産に入ります。

実物の眼鏡を付けてみました。スコープの製作の要望は多いのですが、もし造るとなると、少量生産のため実物の中古品より高価になると思われます。 

平成21年1月3日



設計が二転三転したのが弾倉です。アウターマガジン、インナーマガジン、口金の3点で構成しています。苦労するかと思ったら何のことはない、まっ先に完成してしまいました。アウターを鉄板プレスにしたことで早く量産でき、スコルピオンのマガジンをインナーにして組み込んだことで作動面の不都合がなく、すんなりと完成へもっていけました。弾倉は2個付属します。別売品は40個用意しました。1個¥18,500になる予定です(インナーは引っぱれば簡単に抜きだせます。多少の加工はありますがスコルピオンのマガジンのみをスペアにすることもできます)。   1月22日



鉄の鋳物パーツは15点。鋳造屋さんから約半分上がってきました。数のそろった物から加工しています。写真はキャリングハンドルと勘合する銃身後端部にマシニングでアリ溝を切っているところです。

メタルパーツは24点。キャスト屋さんからこれも約半分上がってきていて、バリ取りが終わったものから加工しています。写真はリアサイトベースの穴あけ。加工は7割が外注、残り3割がKTWです。

アルミ鋳物のレシーバーは完納し、まずはバリ取りから。KTW得意のヤスリがけです。でもこれが最もハードな作業です。ペーパーがけで仕上げるまでたっぷり2週間はかかるでしょう。 2月1日



K.T.W. 九六式軽機プロモーション映像
ガンジニア様 提供の九六式軽機(試作機) プロモーション映像です。どうぞ ご覧ください。

ガンジニア ホームページ >>> http://gungineer.cande.biz/

     2月9日



南部鉄器製品が完納し、最初にNC加工で外注さんから上がってきたのが提把(ていは)部です。まだ黒染め前ですが、銃身に差し込んでズラリ並べてみました。水鳥の首が伸びてくちばしがやや下に傾く姿は九六式軽機関銃の特徴の1つです。

ここはハンドル部とベース部の2パーツで構成しています。結合はアリ溝とピン打ちカシメで、実銃どおりです。上のくちばし部から支鉄が伸び提把(キャリングハンドル)が付きます。ベース後部のU溝は銃身止との勘合部です。 2月15日



メタル類は加工、黒染めがすべて完了し、各部の組み立てに入りました。左はトリガー部、右はリアサイト部。黒染めはKTWでやっています。

鉄製品はフロントサイト部と二脚基部の加工が外注さんから上がっています。NCやマシニングをつかって大変な苦労をしたようです。

今、一番時間のかかっているのがフレームの加工です。肝心なところなのでKTWから外には出せません。当分かかりそうです。 3月6日



いま現在、量産品で上がっているパーツで組んでみました。
レシーバー以外は加工と部分組み立てが完了しています。これらパーツの黒染めも、レシーバー以外は完了です。レシーバーはたっぷりと時間をかけて木村工場長が汎用機で丁寧に加工しています。
残りは二脚と木ストックです。二脚は複雑な形状によるパーツ構成のため、外注の加工屋さんで最新の機械を使ってもこんがらかっています。
木ストックは三八式などをやってもらっているいつもの木工屋さんで製作中です。最高級のオニグルミで、いつも通り良い仕事をしてくれるでしょう。ただ、グリップのチェッカリングに時間がかかるものと思われます。なお、この写真の状態で、重量が5.6Kgもあります。完成時の総重量を考えると頭が痛いところです。 3月15日



箱の製作はもっと後で、いつもは箱屋さん任せなのですが、今回は重量が気になりKTWで先に試作しました。完成品代わりに使用したのは無可動銃で約9キロあります。梱包バンドで4点止めするこの方法がコストと強度の面でベストでした(一時は木箱を考えましたがコストのかかりすぎで却下)。これに上箱をかぶせ、さらに筒状の段ボールに挿入して梱包完了となります。箱の左下は付属のマガジン2個、バッテリー、充電器、負革です。 3月16日



レシーバーの加工の完了です。フライス盤が朝5時から回りっぱなしで2ヶ月かかりました(もういやだ)。仕上げはアルマイト処理(手前)の後、カシュー焼付け(奥)します。

取説は2日で上げました。価格は¥328,000(税抜き)で決定です。発売は4月30日と決め、これから各問屋さんに連絡します(遅れたらゴメンなさい)。  4月3日