タネガシマ

TANEGASHIMA

1543年、種子島に漂着したポルトガル船が初めて日本に伝えた鉄砲伝来説は、新説ではそれより前に倭寇が東南アジアから日本に持ってきていたとされていますが、いずれにしろ、日本で初めて鉄砲製造に挑戦し、成功したのは種子島の鍛冶職人でした。これを商人が各地に広め、以後、鉄砲はタネガシマと呼ばれるようになります。

ここで鉄砲鍛冶という新しい職業が生まれ、それに付随して、砲術師という職業も現れます。砲術師は鉄砲の扱い方・製造法、火薬の製法・調合法を研究熟知し、それぞれの流派を名乗り全国の大名に売り込みました。世は戦国時代です。天下を狙う大名は、鉄砲鍛冶集団と火薬入手ルートを確保している砲術師を競って招き入れました。

集団で鉄砲を製造する地として瞬く間に大きくなったのが近江の国友と和泉の堺でした。この2大生産地を軸として全国各地の鉄砲生産数はすさまじい勢いで増え、当時布教活動をしていた宣教師が「10万挺を超える」とイエズス会を通して世界に伝えています。太平の世になってからも造り続けられた鉄砲は、各流派、各生産地、各職人によってさまざまな形状や機構で進化していき、マッチロック(火縄銃)では世界最高レベルに達しました。

KTWがモデルにしたのは「能当流」です。砲術家の流派ではなく、造る側の流儀です。「能(よく)当(あたる)」。これは命中精度と品質に秀でた評価を受けた国友鉄砲鍛冶の造り方の伝統です。外見は普通のタネガシマですが、その造りは能当流に習いました。

【仕様】

全長:1323㎜

重量:2.25㎏

口径:6㎜BB

装弾数:77
機構:アンダーレバー式エアーコッキング
材質:亜鉛合金・真鍮・鉄(内部)・アルミ(銃身部)
銃床:ブナ材・オイル仕上げ
付属品:火縄

 

価格:¥118,000(税別)

2013年  5月  発売
2014年  5月  第2ロット発売

2020年10月 第3ロット発売

(外装主要部が亜鉛ダイキャスト製、金メッキ仕様)

2021年  7月 第4ロット発売

2024年  7月 第5ロット発売

(金メッキを真鍮アンティークメッキ仕様に変更)

 



第5ロットから外装主要のパーツが真鍮アンティークメッキになりました。第1から第2ロットのピカピカの真鍮削り出しパーツが数年たって黒ずんだ色に落ち着いたころを再現しています。

 

第1ロット以来の真鍮削り出しパーツです。現在まで変わりありません。しばらくすると第5ロットの真鍮アンティークメッキのようになります。

 


マズル部は柑子(こうじ)といいます。巣口(すごう、銃口)は13㎜(52口径)、実戦用に普及したサイズをモデルにしました。

バネが外に露出した外カラクリ機構です。歴史的にはのちにゼンマイ利用の内カラクリ、それら混用の外気(ゲキ)カラクリと進化していき、すべての面で世界最高の火縄銃といえるものとなりました。なお、板バネの強弱は板を曲げて調整できます。

 

火縄は6m/m径の金剛打ち綿ロープに灯油・亜麻仁油・弁がらを浸透させています。両端はほつれ止めし、ひばさみにつまようじを差して固定しています。

 


カルカ(さく丈)を押して左へ回し、ロックを外して引き出し、給弾口が開いたところでBB弾を入れます。

 

台下のレバーを起こしてコッキングします。レバーを元の位置に戻し、ひばさみ(ハンマー)を起こして引き金を引くとピストンが前進して同時にひばさみが落ちます。

 

ひばさみを上げて火ぶたを開けた状態です。ひばさみが火皿に当たった時、キズが付かないよう火縄がクッションになります。火ぶたを閉めた状態でも発射はできます。

 


可変ホップアップネジ(ホーローM3×8)は元目当(リアサイト)にあります。三八式と同じ構造で、パッキンはネジで押さなくともある程度ホップがかかる構造です。出荷時、東京マルイ0.25g弾で調整済みです。

 



分解手順(写真は第3と第4ロットの金メッキ仕様モデルです)

弾金(はじきがね=板バネ)の軸棒を裏側からポンチでたたいて抜きます。

弾金は後ろにズラすと地板(サイドプレート)から外れます。

ひばさみ軸の頭ネジを外すと、ひばさみが外れます。


台の先輪金・中輪金の目釘(ピン)を抜いてこれらを外すと、台から銃身部が抜き出せます。

第3ロットより、目釘はネジ式になりました。

用心金(トリガーガード)の目釘を抜き、胴金(メインの輪金)を前にずらすと地板が外れます。

カラクリ(機構)部。ディスクコネクター機構など、エアガンの基本構造が詰まっているKTWカラクリです。

 



【その他】

第2ロットの火ばさみ軸棒は形状に変わりはありませんが、機能に変更があります。右が第2ロットで、ナベネジが付いています。これを外すとディスコネクター機能が働かなくなり、火ばさみを起こさなくともシアを押します。つまり、ポンプアクションで連射できます。カムスプリングは無くても支障がない為、省略しています。

第3ロットの火ばさみ軸棒は、新設計となり、スプリングは強くなっています。

第4ロット以降は、火ばさみ軸棒とカラクリシアが金型化されて亜鉛合金製になりました。


火縄を長くしてつまようじで止めると、火ばさみを起こさなくてもポンプアクションで速射が可能となります。



雑談です

タネガシマは台以外は全パーツ金属製です。実銃と同じですが、さすがに法律通り銃身は鉄ではなくアルミです(インナーは真鍮製)。アルミは問題なく進行したのですが、苦労したのが真鍮パーツでした。数百年前のかざり職人(鍛冶師、台師、飾り師がいて、真鍮外装品はかざり師の仕事)の技術を真似するのが大変でした。第1ロットと第2ロットでは、KTWは機械加工と手作業で、やっとのことで再現できました。

第3ロットから主要部が金型による亜鉛ダイキャスト製となり、外装パーツは金メッキになりました。これは第4ロットまで続きましたが、第5ロットからは真鍮アンティークメッキとなり、今日に至っています。

 

原設計図です。2011年になってから描きはじめたのを覚えています。終わったのが3月10日で、翌日、大地震と大津波でした。「タネガシマ」はKTWにとってなんとも表現のしがたい、意味深い作品だと思っています。